トップ > AGROPEDIA > 研究成果情報 > 野菜・茶業試験場 > 平成09年度 > 分生子懸濁液噴霧によるキュウリのうどんこ病抵抗性早期検定法

分生子懸濁液噴霧によるキュウリのうどんこ病抵抗性早期検定法



[要約]
 キュウリのうどんこ病菌Sphaerotheca fuligineaの分生子懸濁液は冷蔵庫内(5℃)で少なくとも1週間の保存が可能である。またうどんこ病抵抗性は10の5乗個/mlの分生子懸濁液を子葉あるいは第1本葉に噴霧接種することで早期検定できる。

(keyword) キュウリ、分生子懸濁液、うどんこ病抵抗性、早期検定

      野菜・茶業試験場 久留米支場 ウリ科野菜育種研究室
      [連絡先]0942-43-8271 
      [部会名]野菜・茶業
      [専門] 育種
      [対象]  果菜類
      [分類]  指導
      

[背景・ねらい]

 Sphaerotheca fuligineaによるキュウリのうどんこ病抵抗性の早期検定法の開発が要望されている。現在、うどんこ病の抵抗性検定は自然発病、筆接種あるいは株直上からの分生子散布接種によって行われているが、これらの方法では接種する分生子濃度を一定にできないこと、接種作業に長時間を要することなどの欠点がある。一方、分生子懸濁液による噴霧接種は分生子が水中で壊れる理由からこれまで利用されてこなかったが、分生子濃度の調節や接種操作が容易である点で優れている。そこで、分生子懸濁液を用いたうどんこ病抵抗性早期検定法の開発を試みた。

[成果の内容・特徴]

  1. 分生子懸濁液は蒸留水を注ぎ二枚重ねのさらし木綿で分生子をろ過して作製する。
  2. 本葉0~1葉期の苗から切り取った子葉あるいは第1本葉は湿らせたろ紙を敷いたペトリ皿に並べて分生子懸濁液を噴霧接種し、恒温器に入れる(温度条件は成果情報「キュウリうどんこ病抵抗性の温度反応と抵抗性素材の選定」を参照)。
  3. 発病は懸濁液噴霧接種後およそ5日目に認められ、懸濁液濃度が1ml当たり10の5乗及び10の6乗では接種後8日目に葉面の半分以上が病斑で被われる。懸濁液濃度の10の6乗と10の5乗の間には発病度に大差がないため、懸濁液濃度は1ml当たり10の5乗が適している(表1)
  4. 分生子懸濁液の当日作製液と1週間保存液(5℃冷蔵庫)の病斑の拡大は終始当日液が勝り、保存液が遅れる。しかし保存液は当日液に及ばないまでも十分に高い発病能力を有し、少なくとも1週間の保存は可能である(表2)
  5. 分生子懸濁液噴霧接種法は筆接種法に比べ発病度はやや低いものの品種の抵抗性評価結果には差異が認められない(図1)
  6. 子葉あるいは第1本葉における発病度と品種の抵抗性はよく一致し、また子葉と第1本葉間の発病度にも大差が認められない。子葉あるいは第1本葉のいずれの部位を用いてもうどんこ病抵抗性の評価は可能であり、抵抗性の早期検定ができる(図2)

[成果の活用面・留意点]

  1. キュウリのうどんこ病抵抗性の早期検定に活用できる。
  2. 分生子懸濁液は保存中に沈殿するため使用に当たっては振とうして再懸濁させる。
  3. 分生子の長期保存の可能性については今後の課題である。
  4. 品種の抵抗性は温度によって変化するため検定は一定の温度条件下で行う。

  5. [具体的データ]

     表1:分生子懸濁液噴霧接種濃度と発病度

     表2:保存分生子懸濁液による発病度

     図1:分生子懸濁液噴霧接種と筆接種の発病度比較

     図2:分生子懸濁液噴霧接種法における品種並びに接種部位と発病度の関係


          [その他]
          
          研究課題名:キュウリのうどんこ病抵抗性育種
          予算区分  :経常
          研究期間  :平成9年度(平成8~12年)
          研究担当者:森下昌三・斎藤猛雄・杉山慶太
          発表論文等:キュウリのリーフディスク法によるうどんこ病抵抗性評価.園学雑,
                      66(別1),812,1997.